車窓

同じ電車で同じ時間、同じ道で。
どんなに感謝を綴っても、電子文字では半分も伝わらない。
声をかけてきてくれた。
言葉すらなくて流れる景色を一緒に見られたこと。
一人ひとりが大切で優しくなりたかったんじゃない。
あなたといたことが取り返しのつかないくらい大切過ぎた。
同じ電車で同じ時間、違う場所へ。
また会えることがわかってたとしても、最後まで手を振り続けてくれていた。
手を握る勇気もない。こんなに長い時間を隔てた、こんなに近い距離を、
失いようがない。過去も手に入れてもない未来も消えるのを恐れる。僕は。
強くなってもなかった。まして優しさなんて。
そんなことを知らないあなたが呟いた一言をとっさに受け止めるくらいには。
ちょっとは背伸びしないで届くようになったかな。
返事が早すぎること笑ってくれるくらいになっていたらいいなと笑い飛ばせるくらいに。
刺すような愛おしさで景色が滲んで見えたあの日の窓の向こう。

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